本郷発電所
HONGOU PLANT
美しい里で
歴史を刻む発電所

会津の里を潤す大川
発電もその恵みの
ひとつになった

幾層もの歴史が折り重なる発電所の歩み

本郷発電所は、当社の電気事業の幕開けとなった発電所です。この発電所建設の発端となったのが「県営大川筋農業水利改良事業」でした。阿賀野川上流の阿賀川は、会津盆地では大川と呼ばれ古くから水田用水に利用されてきましたが、急流で荒れ川のため、洪水と干ばつを繰り返してきました。そこで1928年、福島県は安定した農業用水確保のため堰を整備し、両岸を結ぶ堰堤(馬越頭首工※)を新設し、水路によって両岸に分水し、大川の水を灌漑用水のほか生活用水として使う計画に着手します。しかし、国や県の補助金に限りがあり工事はなかなか進捗しませんでした。そうした中、福島県は、事業促進のため堰堤から5.9kmの下流に発電所を建設する構想を打ち出します。

工事は当初、日本拓業株式会社を起用して始まりますが、その後権利義務全てを日本水力工業株式会社が承継します。しかし、太平洋戦争や台風被害によりこれを放棄、県は難航を極めながらも1950年、22年の歳月を経てようやく頭首工と水路の完成を果たしました。しかし、発電所は未完成のままです。ここにおいて日本水力工業が発電の新会社を設立発起、現在の会社に受け継がれました。後に東北電力が出資参加、本郷発電所が営業運転を開始したのは1957年1月のことです。
2017年8月には運転から60年以上経過し、老朽化が著しく部品等の調達にも苦慮していたことから既設導水路活用型のFIT認定工事として、発電所建屋をはじめ水車発電機、制御装置および屋外変電設備など全面的な取替工事に着手し、2019年11月に営業運転を再開しました。

※頭首工/湖沼・河川から灌漑用水等を取水するために、幹線水路の頭部に設ける一切の施設をいう。普通は、堰・取水ゲート・土砂吐きの3つを総称する。

阿賀川からひく水路式発電所

本郷発電所は、阿賀野川水系阿賀川(大川)の馬越頭首工の左岸から農業用水と併用で取水する水路式発電所です。馬越頭首工より最大10.72㎥/sを取水、農業用水と併用の大川導水路延長5,783.11m(取水口含む)を経て最大10.16㎥/sを水圧管路1条(延長56.9m)落差25.19mを流下させ2,100kW(当初計画2,000kW)を発電しています。
発電後は、放水路(延長505m)を経て灌漑専用水路に接続し、余水は分岐放水路より阿賀川に放流します。農業用水については、2つの頭首工から水路を巡らせ、約931haの農地に利用されています。