鮎川発電所
AYUKAWA PLANT
農業用水と共存する
貯水池式発電所

地域の貴重な水資源
「大谷地池」開拓に始まる
発電と農業の
コラボレーション

発電所の歩み

1960年、秋田県・山形県にまたがる鳥海山に源を発する子吉川水系鮎川に、発電所を建設するための調査が始まりました。5年にわたる調査の結果、貯水ダムとして利用する灌漑用の既設「大谷地ため池」は十分な水量もあり、農業用水との共用が可能であること等が判明し、これに加えて地元由利町(当時)の誘致協力を得られたことにより、1965年10月に建設が決定、翌1966年工事着工となりました。4月には土木工事を開始、一部区間での湧水、急峻な地形での困難はあったものの計画どおりに進捗し、水圧鉄管据付等水路関係本工事は約8カ月で完成しました。発電所本館工事は併行して7月に着手、10月には電気機器据付工事を開始、いずれも順調に進み1966年12月には全工事を終了、1967年1月11日仙台通商産業局の検査に合格し、同日運転を開始しました。
2018年11月には運転から50年以上経過し、老朽化が著しく部品等の調達にも苦慮していたことから既設導水路活用型のFIT認定工事として、水車発電機や制御装置および屋外変電設備など全面的な取替工事に着手し、2019年9月に営業運転を再開しました。

鮎川発電所の特徴

鮎川発電所は、子吉川水系鮎川の中流に位置しています。上流にある冷渡川(ひえわたしがわ)および御助川(おたすけがわ)の流水を取水して、既設灌漑用の大谷地池に貯水し、これより最大で1.47㎥/sの水を導水路(延長1,334m)、水槽および、水圧鉄管(延長1,681m)を経て落差190mを利用し、最大2,300kWを発電、鮎川に放流する農業水利併用の貯水式発電所です。

大谷地池の歴史

発電所の上流5kmにある大谷地池は、南由利原高原の中腹、標高400mに位置し、1910年に築造された秋田県最大の人造湖です。その貯水量は約353万㎥で、受益面積は760haです。鮎川は、年間を通じて水量が少なく、渇水時には水利組合間で水争いが絶えませんでした。その水争いの解消を目的に1942年県営鮎川筋用水改良事業で大谷地池の嵩上げ工事が開始され、1956年に完成。60年以上を経た今も、東北屈指の溜池灌漑用水池として下流約1,200haの農地を潤しています。