上先達発電所
KAMISENDATSU PLANT
霞にけむる湯の森を抜け、発電を待つ水車をめざす

自然への畏敬を水に託す 沢々と渾身の一滴を集める発電所

発電所の歩み

秋田県田沢湖町(現・仙北市)の生保内地点に水力発電所を建設するための調査が開始されたのは1967年のこと。雄物川水系の支流「先達川」は、秋田県仙北市と岩手県雫石町にまたがる乳頭山、笊森山に源を発し、途中多くの沢水を集めて小支川を合流、さらに先達地点で玉川に注ぎます。流域65㎢、流程約20kmの小河川で平均河床勾配は20分の1と急峻な河川です。この先達川の水の恵みを最大限利用する上先達発電所は、旧東星興業の供給力と経営の安定化を目的に計画され、その建設にあたり、安定的な取水を確保するための土木調査が重ねられました。1969年6月、発電所基礎、放水路・赤倉沢ダム基礎などの掘削を皮切りに工事に着手、全長2,946mにわたる先達川隧道工事は、当時重機が入らず掘削は人力に頼らざるを得ず、さらに湧水などで難航を極めましたが1970年3月に貫通。続いて発電機室コンクリートの打設、水圧管路の掘削、取水ダム、水路工事と進み、同年4月、豪雪のため中断していた隧道工事を再開。本館建物工事は5月、水圧鉄管据え付けは7月に着手し11月下旬に完了。8月1日に開始した水車、発電機、主要変圧器等の据え付けも11月上旬に終了しました。
1971年1月13日、仙台通商産業局長(現在の東北経済産業局長)による電気工作物使用前検査に合格、運転を開始しました。合併により2015年7月から東星興業(株)より東北自然エネルギー(株)が継承、運転しています。

上先達発電所の特徴

「センダツ」は道案内の意で、この川は古くから駒ヶ岳への登山コースとして利用されてきました。上先達発電所は、川の中流部に立地しており、安定的な取水を確保するため、発電所上流3kmから、その下流部にある各支流の8カ所より水流を集めています。通常の取水は、湯沢、先達川、赤倉沢、岩井沢の4カ所の取水口から導水、本水路(延長2,959m)に導き、途中渓流の予備取水口も合わせ最大取水量4.60㎥/sを、水圧鉄管(延長251m)一条、落差136mによって最大5,200kWを発電し、下流にある先達発電所(東北電力(株))の先達川ダムの直上流に放流しています。発生電力は、全量を同社に供給しています。
2010年9月には、新しい配電盤の設置、 入口弁電動化などの大規模な改良工事を実施。 1971年の使用開始から46年を迎えた2017年3月には、主要変圧器取替なら びに屋外電気設備のC-GIS化、屋内気中キュー ビクルを更新しています。当社では、流域の雨量 や河川の流量などの情報を監視し、日々運転保守管理に努めています。